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遺言

遺言はなぜ必要か?  

清流

遺言は、生前に財産の処分を決めて残しておくものです。
故人にそこそこの遺産がある場合、本来は助け合うべき肉親や親族が、遺産の配分を巡って骨肉の争いを起こすケースが多々あります。

  • 亡くなった息子(長男)の嫁にも財産を与えたい。
  • 自分が経営する今の事業は、長男に跡を継がせたい。
  • 内妻にも財産を分け与えたい。

といった場合、残された家族に争いや混乱を起させないためにも、今のうちに資産状況を明確にし、その分配方法等を遺言に残しておきたいものです。

貴方が遺言を残すことで、きっと、貴方の素直な思いがご家族の皆様に伝わるはずです。


遺言は早めに準備を  

相続問題は誰もが一生に一度はぶつかる問題です。
通常は親が亡くなり相続が起きるというケースで、一生のうちに何度もありません。
相続では遺言の有無が遺産分割に大きく影響します。

息子の死後、息子の嫁が再婚もせず同居する貴方(義父)の介護を尽くしてくれても、貴方(義父)の遺言が無ければ、貴方への献身的な努力は報われません。

遺言は、貴方が平素お世話になっている方のために、今から準備しても決して早すぎることはございません。

「そろそろ遺言書の準備が必要かな」とお考えの場合は、お気軽にご相談ください。
村上法務事務所が、貴方の遺言書作成のお手伝いを致します。



わが国の相続制度  

我が国の相続制度は、「遺言による相続制度」法定相続の二本立てになっており、遺言があれば法定相続に優先します。
但し、相続財産の一定部分遺留分は、遺言によっても処分できません。(遺留分制度)
被相続人が遺言を残さなかった場合は、「法定相続」によります。


遺言とは  

遺言は自分の死後、その財産(遺産)の処分方法などについて言い残しておくものです。
遺言は満15歳になれば、たとえ未成年でも親権者の同意が無くてもできます。
しかし、遺言は法律で定める方式や手続きに従ったものでないと認められません。

成年被後見人・被保佐人・被補助人であっても遺言をすることができます。(民法973条)
但し、成年被後見人の場合は、2名以上の医師が立会い、遺言をするときに判断能力を欠く状態でなかった事実を医師が遺言書に付記し、署名・捺印が必要です。




遺言が必要なケース  

遺言は、遺産配分の公平を実現して紛争の防止を図るものです。
遺言を必要とする典型事例は、次のようなものがあります。

  • 夫婦に子や直系尊属がいない場合
    平素、交際が無い配偶者(妻または夫)と義理の兄弟姉妹との話合いは円満に進まないことが多いものです。
    遺言が無ければ、愛妻の相続分は4分の3、兄弟姉妹が4分の1を相続します。
    遺言があれば兄弟姉妹には遺留分が無いので、全資産を愛妻に相続することが可能です。
  • 相続人がいない場合
    特別な事情のない限り遺産は国庫に帰属します。
    看病等でお世話になった人に遺贈したり、福祉団体等に寄付したいときは遺言が必要です。
  • 再婚しているが、離婚した先妻との間に子供がいる場合
    この場合の相続分は、再婚した後妻が2分の1、先妻との間の子が2分の1となりますが、感情的対立等から紛争がよく起きる例です。
    遺言で、生活状況等に応じた遺産分割をすることで、紛争の事前予防が図れます。
  • 妻の老後や障害のある子の将来が心配な場合
    将来、世話が期待できない妻や、障害により自立できない息子の生活資金をより多く残してやりたいときは、遺言で明確にしておく思いやりが大切です。
  • 後継者に事業用資産や農地を承継させたい場合
    遺言で事業用資産や農地の配分方法を明確にしておく必要があります。
  • 内縁の妻の場合
    長年、夫婦として共同生活を営んでいても婚姻届がされてないと相続権がありません。
    愛する内妻のために、遺言をしておく配慮が必要です。
  • 相続人以外の人から世話を受けている場合
    亡くなった息子の嫁が、亡夫の親の世話をしてくれていても、息子の嫁には相続権がありません。
    世話をしてくれる嫁に報いるためには親の遺言が必要です。


遺言書の方式  

民法960条は「遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、これをすることができない。」と定め、976条から973条までその方式を定めています。
民法の規定する遺言の方式は、3つの普通方式4つの特別方式があります。

ここをクリックfile遺言の方式


普通方式遺言  

民法976条本文によると、「遺言は、自筆証書公正証書又は秘密証書によってこれをしなければならない。」と定め、その方式を3種類に限っており、この方式に従う遺言を普通方式遺言といいます。

(1)自筆証書遺言

  • 何時でも誰にでもできる簡単な遺言で、本人が自分で、その全文、日付、氏名を書きハンを押せばよいのです。
  • 証人も不要で費用もかかりません。
    しかし、紛失や変造の危険と、方式不備で無効になる恐れがあります。

    自筆証書遺言
    第968条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。

    2 自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

    ここをクリックして下さい。
    file自筆証書遺言サンプル
    file封印方法サンプル



(2)公正証書遺言

  • 公証役場で本人の口述内容を公証人が公正証書に作成します。
  • 作成に際し、相続人以外の証人2名以上の立会いが必要です。
  • 若干の費用と手間がかかりますが、保管は確実で方式不備の心配も無く最も安心できる方式です。

    公正証書遺言
    第969条 公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
    1.証人2人以上の立会いがあること。
    2.遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
    3.公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。
    4.遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を附記して、署名に代えることができる。
    5.公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を附記して、これに署名し、印をおすこと。

    公正証書遺言の方式の特則)
    第969条の2 口がきけない者が公正証書によって遺言をする場合には、遺言者は、公証人及び証人の前で、遺言の趣旨を通訳人の通訳により申述し、又は自書して、前条第2号の口授に代えなければならない。この場合における同条第3号の規定の適用については、同号中「口述」とあるのは、「通訳人の通訳による申述又は自書」とする。

    2 前条の遺言者又は証人が耳が聞こえない者である場合には、公証人は、同条第3号に規定する筆記した内容を通訳人の通訳により遺言者又は証人に伝えて、同号の読み聞かせに代えることができる。

    3 公証人は、前2項に定める方式に従って公正証書を作ったときは、その旨をその証書に附記しなければならない。

    ここをクリックして下さい。
    file遺言公正証書サンプル



(3)秘密証書遺言

  • 遺言内容を死ぬまで秘密にしたい時に使う方式です。
  • 本人の署名捺印と2名の証人と公証人が必要です。
  • 証人や公証人は、遺言の内容までは確認しません。
    秘密保持と保管は確実ですが、方式不備で無効になるおそれがあります。

    秘密証書遺言
    第970条 秘密証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
    1.遺言者が、その証書に署名し、印を押すこと。
    2.遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印すること。
    3.遺言者が、公証人1人及び証人2人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること。
    4.公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し、印を押すこと。

    2 第968条第2項の規定は、秘密証書による遺言について準用する。

    (方式に欠ける秘密証書遺言の効力)
    第971条 秘密証書による遺言は、前条に定める方式に欠けるものがあっても、第968条に定める方式を具備しているときは、自筆証書による遺言としてその効力を有する。


 区 分 証 人作成者署名・押印家裁の検認
 自筆証書遺言 不要本人本人必要
 公正証書遺言  2人以上 公証人 本人・証人・公証人 不要
 秘密証書遺言  2人以上 代書も可能 本人・証人・公証人 必要


特別方式遺言  

民法は、967条但書において、普通方式遺言の外に「但し、特別の方式によることを許す場合は、この限りでない。」と定め、同法976条から979条までその許す場合を定めています。
この許された場合の遺言が特別方式遺言で、次の4つの場合を定めています。

(1)死亡危急者の遺言(民法976条)

  • 病気や怪我で臨終の時が迫ったときにする遺言です。

    (死亡の危急に迫った者の遺言)
    第976条 疾病その他の事由によって死亡の危急に迫った者が遺言をしようとするときは、証人3人以上の立会いをもって、その1人に遺言の趣旨を口授して、これをすることができる。この場合においては、その口授を受けた者が、これを筆記して、遺言者及び他の証人に読み聞かせ、又は閲覧させ、各証人がその筆記の正確なことを承認した後、これに署名し、印を押さなければならない。

(2)伝染病隔絶者の遺言(民法977条)

  • 伝染病で病院に隔離された人が遺言を作る場合です。

    (伝染病隔離者の遺言)
    第977条 伝染病のため行政処分によって交通を断たれた場所に在る者は、警察官1人及び証人1人以上の立会いをもって遺言書を作ることができる。

(3)在船者の遺言(民法978条)

  • 船舶内にいる人が遺言を作る場合です。

    (在船者の遺言)
    第978条 船舶中に在る者は、船長又は事務員1人及び証人2人以上の立会いをもって遺言書を作ることができる。

(4)船舶遭難者の遺言(民法979条)

  • 船の遭難で船中にある時に、臨終が迫った場合の遺言です。

    (船舶遭難者の遺言)
    第979条 船舶が遭難した場合において、当該船舶中に在って死亡の危急に迫った者は、証人2人以上の立会いをもって口頭で遺言をすることができる。



証人及び立会人の欠格事由  

公正証書遺言秘密証書遺言又は特別方式による遺言書には、証人(民法969条など)又は立会人民法973条など)を必要とします。

法は、その証人又は立会人について欠格事由を掲げて制限しており、これに違反した遺言は無効となります。
「証人」・「立会人」の欠格事由は次のとおりです。

<欠格事由(民法974条)>
次に掲げる者は、遺言の証人又は立会人となることができない。

  • 未成年者〜20歳未満の者(但し、18歳以上で結婚している者は成人とみなす。)
  • 法定相続人・受遺者及びその配偶者と直系血族
  • 公証人の配偶者、4親等内の親族、書記および使用人




無効な遺言  

形式が整っていても、実体上の理由から遺言が無効と判断される場合があります。
例えば、次のような場合です。

  • ^筝税塾呂魴腓者がした遺言
    満15歳未満の者の遺言、成年被後見人が事理を弁識する能力が回復してないときの遺言(民873条)等がこれに該当します。
  • 被後見人の遺言である場合の制限違反
    被後見人が、後見の計算の終了前に、後見人又はその配偶者若しくは直系卑属の利益となる遺言をしたときは、その遺言は無効です。
    ただし、「本人の直系血族」「本人の配偶者」又は「本人の兄弟姉妹」が後見人である場合には、これを適用しないとしています。(民966条)

    <参考>
    次の場合は、後見が終了します。
     〔だ年被後見人が婚姻し又は成年に達し或いは親権者が現れた時
     ∪年被後見人が能力を回復し後見開始の審判が取消され又は保佐・補助に移行した時
     8絽人が交代した時

  • 8序良俗に反する遺言
  • い修琉筝世慮紊忘遒蕕譴芯饋┐垢詁睛討琉筝世ある場合
    前の遺言と後の遺言が抵触するときは、抵触する部分は後の遺言によって取消されたものとみなす。(民1023条)
  • グ筝生紊飽筝世膨饋┐垢訐諺綾菠その他の法律行為があった場合
    例えば遺言書で「甲に相続させる」と言ってあるA土地を、生前に乙に売却したような場合です。
    その遺言は取消されたものとみなします。
  • 実行不可能な遺言
    遺言書作成後に対象物が滅失した場合や、もともと存在しない地番の土地を対象としていた場合など。
  • 内容が特定できない遺言
    遺言の内容が、その文面では明瞭でない場合で、遺言者のその真意を探求する努力を尽くしても尚特定できない場合は無効。
  • 法定遺言事項に該当しない遺言
    法定遺言事項とされてない事項の遺言は、法的効力がありません。


公正証書遺言の作成方法  

事前準備  

公証人役場に行く際は、財産の全容がわかる資料を持参する必要があります。
一般的には、次のものを準備すると良いでしょう。

  • 遺言者の印鑑登録証明書(発行後3ヶ月以内)
  • 遺言者と相続人との続柄がわかる戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 相続人以外への遺贈のときには、その人の住民票
  • 遺産に不動産がある場合は、その不動産登記簿謄本、固定資産評価証明書
  • 遺言内容のメモ
  • 証人2名
     (証人の欠格事由・・・未成年者、法定相続人、受遺者、その配偶者・直系血族)

公正証書作成の要件  

  • ‐攷唯何涌幣紊鯲合わせること。
  • 遺言書が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
  • 8証人が遺言者の口述を筆記して遺言者及び証人に読み聞かせ又は閲覧させたこと。
  • ぐ筝声垉擇咯攷佑筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名押印したこと。
  • ジ証人が、その証書を前記に掲げる要件に従って作成したことを付記して署名捺印したこと。

公正証書遺言の文例  

一般的には、次のような文言で作成されます。

平成○○年度第○○号

                 遺 言 公 正 証 書

本職は、遺言者○○○○の嘱託により証人○○○○、証人○○○○の立会いの下に遺言者の口述を次のとおり筆記し、この証書を作成する。

       (以下、遺言事項の文言を記載)


遺言者の住所
            氏名

証人 住所
            氏名

証人 住所
            氏名

前記各事項を遺言者及び証人に読み聞かせたところ、間違いの無いことを承認し、各自署名押印する。

       遺言者(署名) ○ ○ ○ ○ 印

       証 人(署名) ○ ○ ○ ○ 印
       証 人(署名) ○ ○ ○ ○ 印

この証書は、民法第969条第1号ないし第4号所定の方式に従って平成○○年○○月○○日本職役場において作成し、同条第5号によって本職次に署名押印する。

   ○○市○○町○○番○○号
  ○○法務局所属
    公証人(署名) ○ ○ ○ ○ 印




遺言の効力発生  

遺言の効力は、遺言を書いたときでなく、遺言者が死亡した時から効力が発生します。
遺言は、生前中に何時でも自由に取消し、変更ができます。
複数の遺言がある場合は、作成日付が新しいもの(後から書かれた遺言)が有効です。

検認申立て  

遺言書(公正証書による遺言を除く。)の保管者又はこれを発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して、その「検認」を請求しなければなりません。

<申立人>

  • 遺言書の保管者
  • 遺言書を発見した相続人

(遺言書の検認)
第1004条 遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。

2 前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。

3 封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。

<添付書類>
検認の請求には、
 ○遺言者の出生から死亡までの戸籍謄本・改正原戸籍謄本・除籍謄本
 ○申立人と相続人全員の戸籍謄本
等が必要です。

<参考>
申立てから検認期日までは、裁判所により異なりますが、概ね1〜2ヶ月を要します。
検認期日には、必ずしも全ての相続人が出席する必要はありません。


補足(遺言執行者選任審判の申立て)  

遺言書に遺言執行者の指定が無い場合で、「遺言執行が必要な場合(認知・廃除等)」は、遺言執行者を指定して、遺言執行者を選任することができます。(民法1010条)

<申立権者>

  • 利害関係人(相続人・受遺者・相続債権者など)

<添付書類>
検認の場合と同様に
 ○遺言者の出生から死亡までの戸籍謄本・改正原戸籍謄本・除籍謄本
 ○申立人と相続人全員の戸籍謄本
等が必要です。




遺言事項  

遺言事項とは、民法・その他の法により特に「遺言によって成し得る」旨が定められた事項です。
この遺言事項を列記すると次のとおりです。
ここをクリック
file遺言事項と遺言執行者の要否

1.身分に関するもの  

(1)認知(民法781条2項)

  • 認知は、届出が必要ですから必ず遺言執行者の執行行為が必要です。
    妻子がいる場合、生前認知は厳しい為、やはり遺言でしょう。

    (事例)
    遺言者 甲野太郎は、次の者を認知する。
     本 籍 広島市東区戸坂千足1丁目21番地
     筆頭者 乙川 花子
     住 所 広島市東区戸坂千足1丁目21番14号
      男  乙川 一郎 (平成○年○月○日生)
      母  乙川 花子

    遺言執行者に次の者を指定する。
     住 所 広島市東区戸坂千足5丁目1番1号
     氏 名 田中 一郎 (平成○年○月○日生)


    (事例)
    遺言者 甲野太郎は、次の者が懐胎している胎児を認知する。
      本 籍 広島市東区戸坂千足1丁目21番地
      筆頭者 乙川 花子
     住 所 広島市東区戸坂千足1丁目21番14号
         乙川 花子 (平成○年○月○日生)



(2)未成年後見人・未成年後見監督人の指定(民法839条)

  • 未成年者に対して遺言で後見人・後見監督人を指定した内容のものです。

    (事例)
    遺言者 甲野花子は、未成年者である甲野一郎(平成○年○月○日生)の未成年後見人に、次の者を指定する。
      本 籍 広島市東区戸坂千足1丁目21番地
      住 所 広島市東区戸坂千足1丁目21番14号
         田中 春男 (平成○年○月○日生)


2.相続に関するもの  

(1)推定相続人の廃除またはその取消(民法892条・同893条)

  • 「相続人Aは遺言者を虐待し、若しくは重大な屈辱を加えたので、遺言者はAを推定相続人から廃除する。」旨の記載のある遺言で、遺言執行者の執行行為が必要です。

    (事例)
    遺言者 甲野太郎の長男 甲野一郎は、平成○年○月ころから今日に至るまで、遺言者をしばしば侮辱し、再三に渡って遺言者に対し殴る蹴るの暴行を加え、それがために遺言者は極めて多大な精神的苦痛を受け、肉丁的にもたびたび障害を負ったので、遺言者は、長男一郎を遺言者の推定相続人から廃除する。
    遺言者に、次の者を指定する。
      住 所 広島市東区戸坂千足1丁目21番14号
      氏 名 田中 春男 (平成○年○月○日生)



(2)相続分の指定または指定の委託(民法902条)

  • 遺言者は、法定相続分と異なる内容の相続分を指定できます。
    この指定があると、遺言で指定した割合の相続分が法定相続分に優先します。
    指定されなかった共同相続人は、残余の遺産を法定相続分で相続します。
    遺言者は、第三者にその相続分の指定を委任することもできます。

    (遺言による相続分の指定)
    第902条 被相続人は、前2条(法定相続分)の規定にかかわらず、遺言で、共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第三者に委託することができる。ただし、被相続人又は第三者は、遺留分に関する規定に違反することができない。

    2 被相続人が、共同相続人中の一人若しくは数人の相続分のみを定め、又はこれを第三者に定めさせたときは、他の共同相続人の相続分は、前2条の規定により定める。


(3)遺産分割方法の指定または指定の委託・遺産分割の禁止(民法908条)

  • 遺産分割の方法とは、遺産を各相続人にどのような形で分割取得させるかの方法で、一般的に「現物分割」・「価格分割」・「代償分割」・「共有による方法、その他」の態様に分類されます。
  • 遺言者は、第三者に遺産分割方法の指定を委託することもできます。
  • 遺言者は、遺言によって最長、死後5年間に限り遺産の分割処分を禁止できます。

    (遺産の分割の方法の指定及び遺産の分割の禁止)
    第908条 被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託し、又は相続開始の時から5年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。

    (遺産の分割の効力) 
    第909条 遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。



(4)「相続させる」旨の遺言

  • この遺言は、特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」旨の文言です。
  • 相続させる」という文言の法的性質は、遺贈ではなく「遺産分割方法の指定」であり、特段の事情がなければ、被相続人の死亡により、直ちに相続により承継されます。
  • 当該相続人は、遺産分割協議又はこれに代わる家庭裁判所の手続きを経ることなく、当該遺産を確定的に取得します。
    詳しくはここをクリックして下さい。

 


(5)相続人の担保責任の指定(民法914条)

  • 民法は、遺産分割により各相続人が取得する遺産について、各共同相続人は、他の共同相続人に対して、相続分に応じて、売主と同じ担保責任を負い(民法911条)、また、他の共同相続人が分割によって取得した債権についても相続分に応じて、債務者の資力を担保し(民法912条)、且つ担保責任のある共同相続人中に償還する資力の無い者があるときは、その償還不能額は他の相続人がその相続分に応じて負担する(民法913条)ことと定めていますが、遺言によって、この担保責任の範囲を変更することができます。

    (共同相続人間の担保責任)
    第911条 各共同相続人は、他の共同相続人に対して、売主と同じく、その相続分に応じて担保の責任を負う。

    (遺産の分割によって受けた債権についての担保責任)
    第912条 各共同相続人は、その相続分に応じ、他の共同相続人が遺産の分割によって受けた債権について、その分割の時における債務者の資力を担保する。

    2 弁済期に至らない債権及び停止条件付きの債権については、各共同相続人は、弁済をすべき時における債務者の資力を担保する。

    (資力のない共同相続人がある場合の担保責任の分担)
    第913条 担保の責任を負う共同相続人中に償還をする資力のない者があるときは、その償還することができない部分は、求償者及び他の資力のある者が、それぞれその相続分に応じて分担する。ただし、求償者に過失があるときは、他の共同相続人に対して分担を請求することができない。

    (遺言による担保責任の定め)
    第914条 前3条の規定は、被相続人が遺言で別段の意思を表示したときは、適用しない。



(6)遺贈の減殺の順序・割合の定め(民法1034条)

  • 遺留分を侵害した遺贈に対しては、遺留分権利者は受遺者に対する減殺請求があります。
  • 民法は、この減殺される遺贈について、「遺贈はその目的の価格の割合に応じてこれを減殺する。」と定めていますが、遺言者は遺言によってこの定めと異なる内容の定めをできます。




3.遺産の処分に関する遺言事項  

遺言者は、遺贈(包括遺贈・特定遺贈)や寄付行為などにより相続財産の全部又は一部を処分することができます。(民法964条)
但し、法定相続人の遺留分は侵害できません。

(1)遺贈(民法964条)

  • 遺贈は、遺言者がその相続財産の全部又は一部を受遺者に無償で譲与することを文言とした遺言で、遺言の執行行為が必要です。
  • 遺贈の効力は、遺言者の死亡と同時に遺贈された目的物の権利が法律上、受遺者に直接移転することです。
    遺言執行者の意思表示の法律行為を要しないばかりか、受遺者の意思も関係なく、その目的物の権利が受遺者に移転します。
    この効果を「物権的効力」といい、判例・通説により認められています。

<遺贈義務の履行(執行行為)>
権利移転の効力を実現させるには、対抗要件である登記・登録・占有移転・権利変動の通知等の法的行為、又はその物の管理・保管・引渡し等の事実行為が必要です。

そして、この権利移転の履行義務は相続人にあります。
相続人が数人いる場合は、全員が履行責任を負います。

しかし、往々にして相続人間の利害対立から履行が困難なため、法は遺言執行者制度を設け、その義務の履行を遺言執行者の権限としています。(民法1012条・1013条)

従って、遺言で遺言執行者がいるときは遺言執行者の専権事項となり、遺言執行者によってのみ行われます。

  • 包括遺贈
    包括遺贈とは、遺贈の目的物の範囲を遺言者が相続財産の全部又は相続財産に対する一定の割合をもって表示し遺贈する遺言です。
    この包括遺贈の効果として、包括受遺者は相続人と同一の権利義務を有します。(民法990条)
  • ➁特定遺贈
    特定遺贈とは、遺贈の目的が特定の財産や個々の物件を指定し、これを何某に遺贈する旨が記載された遺言です。



(2)一般財団法人設立の寄付行為(民法41条)

  • 財団法人とは、公益を目的として出資された財産を中心として、これを運営する組織であるが、その内容は寄付行為によって定まります。
    遺言によっての寄付行為は、遺贈に関する規定が準用されます。
    遺言執行者の執行行為が必要です。



(3)信託の設定(信託法2条)
信託とは、財産権の移転その他の処分をし、他人(受託者)をして一定の目的に従いその財産の管理又は処分をさせるものです。
遺言執行者の執行行為が必要です。



(4)生命保険金の受取人の指定・変更(商法675条)

  • 生命保険契約において、保険金受取人の指定・変更を保留している場合、保険契約者が死亡する時まで(死亡と同時に確定する)契約者は保険金受取人を指定又は変更できることになっています。(商法675条)
    保険金受取人の指定・変更については、遺言によってもできると解されています。
    この遺言は、その指定・変更を保険会社に通知する必要があります。
  • 遺言執行者の執行行為が必要です。


4.遺言執行に関する遺言事項  

(1)遺言執行者の指定または指定の委託(民法1006条)

  • 遺言者は、遺言で1人又は数人の遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができます。

(2)遺言執行者の職務内容の指定(民法1016条但書)

  • ”任権
    遺言執行者は、止むを得ない事由がなければ、第三者にその任務を行わせることはできない(民1017条)ことになっていますが、遺言者は遺言で、これと異なる内容をさだめることができます。
  • 共同遺言執行者
    共同遺言執行者が数人いる場合、その執行方法は多数決によります。(民1017条)
    遺言で、これと異なる執行方法を定めることもできます。



解釈上認められる遺言事項  

(1)特別受益の持戻しの免除(民法903条)

  • 民法は、遺贈・贈与の特別受益を定めています。
    この相続財産の計算は、被相続人の死亡時に有した財産価格に、特別受益を加えたものを相続財産とみなし、遺贈又は生前贈与の価格を控除(持ち戻し)して算出しますが、遺言で、「遺贈・生前贈与したものを相続財産に組み入れなくても良い」旨の意思表示もできます。

(2)祖先の祭祀主宰者の指定(民法897条但書)

  • 系譜、祭具及び墳墓の所有権は、相続財産とは別に祖先の祭祀を主宰すべき者が承継することになっています。
    この承継者は、被相続人の指定があればその者が、なければ慣習により、慣習が明らかでない場合は家庭裁判所が承継者を定めることになっています。
    被相続人が祭祀承継者を指定する方法に制限は無く、遺言によっても指定できます。
    遺言執行者の執行行為が必要です。

    遺言者甲野太郎は、遺言者の葬儀の執行、墓標の建立および納骨、祖先の祭祀を主宰すべき者として、次の者を指定する。
     住 所 広島市東区戸坂千足5丁目1番1号
     氏 名 田中 一郎 (平成○年○月○日生)


5.その他の遺言事項  

(1)遺言の取消(民法1022条)

  • 遺言者は、何時でも、遺言の方法に従って、既になした遺言の全部又は一部を取消すことができます。


遺言執行者の要否  

遺言執行者の職務は、遺言者に代わって遺言者の最終意思を実現することにあり、民法は「遺言執行者は相続人の代理人とみなす」と規定しています。(民法1015条)

遺言は、全て遺言執行者の執行が必要というものではありません。
必ず必要な場合」、「任意的な場合」、「不要な場合」があります。

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file遺言事項と遺言執行者の要否

1.遺言執行者が必要な遺言事項  

次の遺言がある場合は、必ず遺言執行者の執行行為が必要です。

  • 認知
  • 推定相続人の廃除・取消


2.遺言執行者が任意的な遺言事項  

遺言執行者が指定又は選任されている時は遺言執行者により執行され、遺言執行者がいない時は相続人によって執行される任意的な遺言事項は、次のものです。

  • 遺贈、寄付行為、信託の設定
    相続財産の処分に関する遺言事項のうち遺贈、財団法人設立のための寄付行為、信託の設定
  • A沈茲虜怎主催者の指定
  • だ弧進欷蔚發亮取人の指定、変更

遺言で遺言執行者の指定がある場合は、遺言執行者によってのみ執行されます。
相続人は相続財産の処分その他、遺言の執行を妨げることができません。(民法1013条)

この規定に反した相続人の行為は無効です。(最高裁昭和62年4月23日)

  • 遺言執行者がある場合
    たとえ相続人全員が遺産分割協議で合意しても、遺言執行者の追認(同意)が無い限り、その執行行為は無効です。(最高裁昭和62年4月23日民集41・3・247判決)
  • 遺言執行者がない場合
    相続人の共同行為によって執行することとなります。
    但し、この場合でも、相続人や債権者等の利害関係人の請求により家庭裁判所から遺言執行者が選任された場合は、相続人は遺言執行の権限を失い、以後は家裁から選任された遺言執行者が執行します。


3.遺言執行者が不要な遺言事項  

上記1・2以外の遺言事項は、執行行為の入る余地がないので遺言執行者は不要です。





遺言執行者  


遺言執行者の指定・選任  

遺言執行者は、遺言者が遺言で指定するのが一般的です。
遺言執行者がいないとき、又は亡くなったときは、相続人、債権者など利害関係者の請求に基づき、家庭裁判所が選任することができます。(遺言執行者選任申立)
遺言執行者の数に制限はありません。

  • 指定(第1006条1項)
    遺言者は、遺言で、一人又は数人の遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができる。
  • 選任(第1009条)
    遺言執行者がないとき、又はなくなったときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求によって、これを選任することができる。

<遺言執行者がないとき、又はなくなったとき>とは
 ・遺言者が遺言執行者を指定してない場合
 ・遺言執行者の指定の委任を受けた者が、その委任を辞退したとき
 ・指定された遺言執行者が欠格者であるとき
 ・指定された遺言執行者が、就職を承諾しないとき


遺言執行者の地位  

ー詑遼‐紊涼楼
遺言執行者は、相続人の代理人とみなす。(民法第1015条)

遺言執行者は、「遺言者の代理人」と見るのが妥当と思われますが、遺言者は死者であり権利義務の主体となり得ないため、「相続人の代理人とみなす」と構成したものと解されています。(相続人代理説)

∩幣挧‐紊涼楼(通説・判例)
民法第1012条・同第1013条により、遺言執行者のみが当事者適格を有すると解しています。

遺言執行者は、相続財産に対し排他的管理処分権を取得し、他方、相続人はそれらの財産に対する権限を失うことから、遺言執行者のみが当事者適格を持つと解するのが適当である。(最判昭和31年9月18日)


遺言執行者の権限と義務  

(1)権限内容  

遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の権利義務を有しています。(民法1012条)
そのために「相当かつ適切と思われる行為」をすることができます。
「相当かつ適切と思われる行為」とは、遺言者の真意に沿った行為ということになります。

具体的には、

  • 遺言執行の対象となる相続財産の引き渡しを含む管理に属する一切の行為、
  • 遺言執行の妨害行為に対し、排除する行為
  • 遺言執行上必要な場合の訴訟提起

など、遺言執行者の判断ですることができます。

なお、遺言が特定財産に関する場合は、当該財産についてのみ遺言執行に関して必要な一切の行為ができます。(民法1014条)


(2)相続人との法律関係  

遺言執行者は、民法上「相続人の代理人とみなす。」と規定しています。(民法1012条)
この場合、「受任者は、遺言執行者」であり、「委任者は相続人」と考えるのが通説です。
相続人の1人(例えば、長男)を遺言執行者とすることも可能です。
遺贈の受遺者は委任者に含まれないが、受遺者の権利は遺言執行者との関係で保護されます。


(3)遺言執行者の義務  

民法1012条は、「遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。

2 第644条から第647条まで及び第650条の規定は、遺言執行者について準用する。」と規定しています。

遺言執行者は、民法の委任契約が準用されます。
準用される委任規定は、次のとおりです。

〜盈匹粉浜者としての注意義務(民644条)
遺言執行者が、この善管注意義務を怠ると、相続人に対して債務不履行の責任を負います。

∧鷙雉遡(民645条)
遺言執行者が、この報告義務を怠ると、債務不履行の責任を負います。

受取物等の引渡義務(民646条)
遺言執行者が、この引渡義務を怠ると、債務不履行の責任を負います。
但し、「相続させる遺言」の場合で不動産の引渡しは、遺言執行者の職務権に属しない。

な篏義務(民647条)
相続人のために預かり保管中の金銭を自己のために費消し、支払を怠れば損害賠償責任を負います。

ト駘兔還請求権(民650条)
遺言執行のために必要な支出をしたり債務を負担した場合は、相続人に償還請求できます。


(4)遺言執行者の復任権  

^筝声更埃圓諒B緲人の選任
民法では、「遺言執行者は、やむを得ない事由がなければ、第三者にその任務を行わせることができない。ただし、遺言者がその遺言に反対の意思を表示したときは、この限りでない。」と規定しています。(民1016条)

それは、遺言執行者と遺言者が、一身専属的な要素を有しているからです。
やむなく、遺言執行者が第三者を複代理人として委任した場合は、その選任・監督についての責任を負います。(民1051条)
従って、複代理人の行為により相続人に損害を与えた場合は、遺言執行者も連帯責任を負います。

複代理人とは、本人の代理人であり、代理人の代理人ではありません。

遺言執行者の代理人の選任
遺言執行者は、遺言の執行に当たって、種々の専門的知識を要求される場合があります。
例えば、税務上・訴訟上の処理など、このような場合に遺言執行者が税理士や弁護士を代理人として選任することは当然のこととして許されます。


(5)相続人の管理処分権の制限(遺言執行者が存在する場合)  

民法は「遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。」と規定しています。(民1013条)

但し、管理処分権が制限されるのは、あくまでも遺言に書かれている財産に関するものであり、それ以外の財産の管理処分権は制限されません。

 岼筝声更埃圓存在する場合」とは
「遺言執行者が指定されている場合」と「遺言執行者が選任された場合」を言います。
「遺言執行者が指定されている場合」について、判例は、「遺言執行者として指定された者が就任を承諾する前も含む」としています。(最判昭62.4.23)

一方、家庭裁判所への遺言執行者選任申立によって「遺言執行者が選任された場合」は、選任されるまで遺言執行者は存在しないため、相続人の処分行為等の制限もありません。
従って、その間の相続人が行った処分行為は有効です。(最判昭39.3.6)

<遺言執行者が遺言で指定されている場合>
たとえ遺言執行者の就任前であっても、既に就任の可能性があるので、相続人は処分行為等をできません。(最判昭62.4.23)

<遺言執行者が家庭裁判所に選任される場合>
家庭裁判所の選任がなされるまでは遺言執行者が存在しないため、相続人の処分行為等は制限されません。(最判昭39.3.6)



◆岼筝声更圓鯔犬欧訌蠡蛙佑旅坩戞廚箸
民法1012条は、「遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。」と定めています。

このように遺言執行者は包括的な権限を持っていますが、「遺言の執行に必要な」行為に限定されます。

「遺言の執行に必要な」行為については遺言執行者の権限に属し、その一方で相続人の処分権はなくなります。

遺言執行者がある場合の「相続財産の処分、その他遺言の執行を妨げる行為」とは、直接、終局的な権利の変動を生ずるものをいいます。
なお、債権的な行為は含まれないと解されています。

具体的には
・相続人は第三者に不動産を売買・抵当権設定などの処分をして登記を移転できない。
・相続人は目的物の賃料を受け取ることができなくなる。
・相続人が占有していてる場合、遺言執行者に引き渡す必要がある。
相続財産の管理上、相続人は相続財産の現状を変更できない。(例:家屋の改築など)



A蠡蛙佑制限された処分行為をした場合
判例は、相続人が処分行為等の制限に反して行った行為は、「何人に対しても」無効を主張できるとしています。(最判昭62.4.23)いわゆる絶対的無効説の立場です。

しかし、善意無過失であれば、

  • 「動産」の場合は、「即時取得」の規定(民192条以下)
  • 「債権」の場合には、「準占有者に対する弁済」の規定(民478条)

により、取引の相手方は保護されます。


遺言執行者の任務  

遺言執行者は、相続財産の管理・その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有しています。
遺言執行者がいる場合は、相続人は、遺言の対象となった相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるような行為は一切禁止され、これに反する相続人の行為は無効です。 

<任務の具体例>
〜蠡蛙諭受遺者へ遺言執行者に就任した旨の通知を出す。−遺言書の写しを添付
相続財産目録を作成し、相続人・受遺者へ交付する。
受遺者に対して、遺贈を受けるかどうか確かめる。
ぐ筝世砲茲詛知があった場合、市町村役場に戸籍の届出をする。
チ蠡蛙佑鯒兔する旨の遺言があった場合、家庭裁判所に廃除の申立てをする。
ι堝飴困琉簑があるときは、相続登記の手続をする。
О筝世暴召辰銅遺者へ財産を引き渡す。


遺言執行者の欠格事由  

未成年者及び破産者(民法第1009条)

  • 相続人・受遺者を遺言執行者に指定することは妨げられない。
  • 自然人・法人でも良く、複数人の指定も可能です。


遺言執行者の地位の喪失  

  • ^筝声更圓僚了
  • ⊆任
    正当事由(疾病・長期の出張・職務多忙等)と家庭裁判所の許可が必要です。
  • 2鯒ぁ別泳‖1019条1項)
    遺言執行者がその任務を怠ったとき、その他正当な事由があるときは、利害関係人は、その解任を家庭裁判所に請求することができます。
  • い修梁
    遺言執行者の死亡、執行不能、欠格事由(破産)の発生。


相続させる」と「遺贈」の違い  

特定の遺産を特定の相続人に「相続させるという文言で表現される相続は、遺言によって何ら手続きを経ることなく当然に、被相続人の財産が相続人に継承されます。

これに対し、遺贈は遺言によって遺言者の財産の全部または一部を贈与することをいいます。
一般的に遺言書で相続人以外の者に遺産を与える場合「遺贈する」という表現をしますが、相続人に対しても遺贈することができます。
遺言者の死亡する前に受遺者が死亡している時は、遺贈の効力は生じません。

詳しくは、ここをクリック


「包括受遺者」と「相続人」の違い  

包括遺贈は「遺産の4分の1を○○○に遺贈する。」というように、全財産に対する一定の割合を示してする遺贈をいいます。

包括受遺者は「相続人と同一の権利義務を有する」とされていますので、包括遺贈は相続の承認・放棄に準じて取り扱われ、遺贈を放棄するには、相続人と同じく3ヶ月以内に家庭裁判所に申述しなければなりません。

しかし、包括受遺者は「相続人と同一の権利義務を有する」といっても、相続人となるわけではありません。

包括受遺者の場合
 相続人とは、次の点で異なります。

  • 受遺者が先に死亡していても、代襲して遺贈を受けることはできない。
  • 受遺者には遺留分がない。
  • 包括受遺者の取得割合は、遺言で指定された割合に従い、他の相続人は残余を法定相続分に従って相続する。
  • 相続人の1人が相続放棄しても、受遺者の相続分は変わらない。
  • 受遺者の持分は登記しないと第三者に対抗できない(相続人は登記なくして対抗できる)
  • 法人でも包括受遺者になれる。
  • 保険金受取人としての「相続人」には、包括受遺者は含まれない。 


遺贈と死因贈与  

遺贈は貰う人の意思に関係なく行われる贈与であるのに対して、死因贈与は双方の合意(契約)に従って行われる贈与だということです。

  • 遺贈
    「遺贈」とは、遺言により財産を第三者に対して無償譲渡することです。
    遺贈は遺贈者の意思によって、誰に対しても自由に行え、相続人はもちろん、相続権のない個人や団体に対しても行えます。
  • 死因贈与
    「死因贈与」とは、贈与者が生前に受贈者と約束して行う贈与です。例えば、「私が死んだら、この家をあげよう」という約束です。


尊厳死宣言公正証書  

尊厳死とは、

  • 回復の見込みのない末期状態の患者に対して、生命維持治療を差し控え又は中止し、人間としての尊厳を保たせつつ、死を迎えさせることをいう。

と解されています。

植物状態になれば、過剰な延命治療は逆に患者やその家族を苦しめるため、患者の自己決定権の尊重を重視するようになりました。

「尊厳死宣言公正証書」とは、

  • 本人が自らの意思で尊厳死を望み、延命措置を控え、中止する宣言をし、公証人がこれを公正証書にするものです。

尊厳死の普及を目的とした日本尊厳死協会の機関誌「リビング・ウィル」のアンケート結果によれば、「尊厳死宣言書」を医師に示した場合の医師の尊厳死許容率は96%に及んでおり、医療現場でも尊厳死を容認していることが窺えます。


参考(リビング・ウイル 

日本尊厳死協会は、治る見込みのない病気にかかり、死期が迫ったときに「尊厳死の宣言書」(リビング・ウイル)を医師に提示して、人間らしく安らかに、自然な死をとげる権利を確立する運動を展開しております。

リビング・ウイルとは、自然な死を求めるために自発的意思で明示した「生前発効 の遺言書」です。その主な内容は

  • 不治かつ末期になった場合、無意味な延命措置を拒否する
  • 苦痛を和らげる措置は最大限に実施してほしい
  • 数カ月以上に渉り植物状態に陥った場合、生命維持措置をとりや
    めてほしい

というものです。
詳しくはここをクリックして下さい。
日本尊厳死協会の公式HPです。

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