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遺言書の方式

遺言書の方式  

民法960条は「遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、これをすることができない。」と定め、976条から973条までその方式を定めています。
民法の規定する遺言の方式は、3つの普通方式と4つの特別方式があります。

 

普通方式遺言  

民法976条本文によると、「遺言は、自筆証書、公正証書又は秘密証書によってこれをしなければならない。」と定め、その方式を3種類に限っています。
遺言者はこのうち、いずれかを選択して行うことになります。
この方式に従う遺言を普通方式遺言といいます。

  • 自筆証書遺言
    何時でも誰にでもできる簡単な遺言で、本人が自分で、その全文、日付、氏名を書きハンを押せばよいのです。
    証人も不要で費用もかかりません。
    しかし、紛失や変造の危険と、方式不備で無効になる恐れがあります。

    自筆証書遺言
    第968条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。

    2 自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。


  • 公正証書遺言
    公証役場で本人の口述内容を公証人が公正証書に作成します。
    作成に際し、相続人以外の証人2名以上の立会いが必要です。
    若干の費用と手間がかかりますが、保管は確実で方式不備の心配も無く最も安心できる方式です。

    公正証書遺言
    第969条 公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
    1.証人2人以上の立会いがあること。
    2.遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
    3.公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。
    4.遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を附記して、署名に代えることができる。
    5.公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を附記して、これに署名し、印をおすこと。

    公正証書遺言の方式の特則)
    第969条の2 口がきけない者が公正証書によって遺言をする場合には、遺言者は、公証人及び証人の前で、遺言の趣旨を通訳人の通訳により申述し、又は自書して、前条第2号の口授に代えなければならない。この場合における同条第3号の規定の適用については、同号中「口述」とあるのは、「通訳人の通訳による申述又は自書」とする。

    2 前条の遺言者又は証人が耳が聞こえない者である場合には、公証人は、同条第3号に規定する筆記した内容を通訳人の通訳により遺言者又は証人に伝えて、同号の読み聞かせに代えることができる。

    3 公証人は、前2項に定める方式に従って公正証書を作ったときは、その旨をその証書に附記しなければならない。


  • 秘密証書遺言
    遺言内容を死ぬまで秘密にしたい時に使う方式です。
    本人の署名捺印と2名の証人と公証人が必要です。
    証人や公証人は、遺言の内容までは確認しません。
    秘密保持と保管は確実ですが、方式不備で無効になるおそれがあります。

    秘密証書遺言
    第970条 秘密証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
    1.遺言者が、その証書に署名し、印を押すこと。
    2.遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印すること。
    3.遺言者が、公証人1人及び証人2人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること。
    4.公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し、印を押すこと。

    2 第968条第2項の規定は、秘密証書による遺言について準用する。

    (方式に欠ける秘密証書遺言の効力)
    第971条 秘密証書による遺言は、前条に定める方式に欠けるものがあっても、第968条に定める方式を具備しているときは、自筆証書による遺言としてその効力を有する。


 区分 証人書く人署名・押印家裁の検認
 自筆証書遺言 不要本人本人必要
 公正証書遺言  2人以上 公証人 本人・証人・公証人 不要
 秘密証書遺言  2人以上 代書も可能 本人・証人・公証人 必要


特別方式遺言  

民法は、967条但書において、普通方式遺言の外に「但し、特別の方式によることを許す場合は、この限りでない。」と定め、同法976条から979条までその許す場合を定めています。
この許された場合の遺言が特別方式遺言で、次の4つの場合を定めています。

  • 死亡危急者の遺言(民法976条)
    病気や怪我で臨終の時が迫ったときにする遺言です。

    (死亡の危急に迫った者の遺言)
    第976条 疾病その他の事由によって死亡の危急に迫った者が遺言をしようとするときは、証人3人以上の立会いをもって、その1人に遺言の趣旨を口授して、これをすることができる。この場合においては、その口授を受けた者が、これを筆記して、遺言者及び他の証人に読み聞かせ、又は閲覧させ、各証人がその筆記の正確なことを承認した後、これに署名し、印を押さなければならない。

    2 ロがきけない者が前項の規定によって遺言をする場合には、遺言者は、証人の前で、遺言の趣旨を通訳人の通訳により申述して、同項の口授に代えなければならない。

    3 第1項後段の遺言者又は他の証人が耳が聞こえない者である場合には、遺言の趣旨の口授又は申述を受けた者は、同項後段に規定する筆記した内容を通訳人の通訳によりその遺言者又は他の証人に伝えて、同項後段の読み聞かせに代えることができる。

    4 前3項の規定によってした遺言は、遺言の日から20日以内に、証人の1人又は利害関係人から家庭裁判所に請求してその確認を得なければ、その効力を生じない。

    5 家庭裁判所は、前項の遺言が遺言者の真意に出たものであるとの心証を得なければ、これを確認することができない。


  • 伝染病隔絶者の遺言(民法977条)
    伝染病で病院に隔離された人が遺言を作る場合です。

    (伝染病隔離者の遺言)
    第977条 伝染病のため行政処分によって交通を断たれた場所に在る者は、警察官1人及び証人1人以上の立会いをもって遺言書を作ることができる。


  • 在船者の遺言(民法978条)
    船舶内にいる人が遺言を作る場合です。

    (在船者の遺言)
    第978条 船舶中に在る者は、船長又は事務員1人及び証人2人以上の立会いをもって遺言書を作ることができる。


  • 船舶遭難者の遺言(民法979条)
    船の遭難で船中にある時に、臨終が迫った場合の遺言です。

    (船舶遭難者の遺言)
    第979条 船舶が遭難した場合において、当該船舶中に在って死亡の危急に迫った者は、証人2人以上の立会いをもって口頭で遺言をすることができる。

    2 口がきけない者が前項の規定により遺言をする場合には、遺言者は、通訳人の通訳によりこれをしなければならない。

    3 前2項の規定に従ってした遺言は、証人が、その趣旨を筆記して、これに署名し、印を押し、かつ、証人の1人又は利害関係人から遅滞なく家庭裁判所に請求してその確認を得なければ、その効力を生じない。

    4 第976条第5項の規定は、前項の場合について準用する。


証人及び立会人の欠格  

公正証書遺言秘密証書遺言又は特別方式による遺言書には、証人(民法969条など)又は立会人(民法973条など)を必要とします。

法は、その証人又は立会人について欠格事由を掲げて制限しており、これに違反した遺言は無効となります。
証人又は立会人になる資格を有しない者は次のとおりです。

  • 未成年者
    20歳未満の者、但し、18歳以上で結婚している者は成人とみなします。
  • 推定相続人、受遺者(遺産を受け取る人)及びその配偶者と直系血族
    推定相続人とは、民法886条から890条により遺言者の相続人となる者です。
    受遺者とは、その遺言により遺言者から財産の遺贈を受ける者です。
  • 公証人の配偶者、4親等内の親族、書記および使用人



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