強制執行
公正証書による強制執行
執行証書によって強制執行の申立をするには、
- 執行証書の送達
- 執行文の付与申請手続き
が必要です。
強制執行には執行認諾約款のついた債務名義が必要です。
これを「執行証書」といいます。
「債務名義」とは債務の存在を公証する文書です。
債権者と債務者間で作成された借用書などの私的な文書があったとしても、それは偽造されたものかもしれません。
たとえ真正に作成されていても、その債務は既に弁済されているかも判りません。
債権者が裁判所に訴訟を提起して判決を求めるのも、この債務名義(債権存在の証明力)を獲得するためです
一方、債務者は強制執行手続きの進行を止めるには、債務名義の効力を阻止するものを提出しなければなりません。
債務名義となる文書は、民事執行法22条で下記のとおり限定されています。
執行証書以外は、いずれも裁判所が介在しなければ取得できないものです。
執行証書は、公証役場に債権者と債務者(或いはその代理人)が出頭するだけで作成されますから、裁判所の手続きを要する文書より作成が容易です。
強制執行の申立
執行機関(裁判所又は執行官)に債務名義(公正証書)を提出しただけでは強制執行はして貰えません。
強制執行をするための前提条件として、事前に公証人に
- 債務名義に「執行文」を付してもらい
- 債務名義をあらかじめ、または執行開始と同時に債務者に送達の申請
をしなければなりません。
執行文を付与する理由
執行文というのは、債権者と債務者の間の債権が現存し、執行力を有することを公に証明する文言です。
たとえ確定判決でも、その後の再審によって覆された場合は執行力を失います。
しかし、強制執行機関は、単なる債務名義のみでは、執行力の有無の判断ができません。
つまり、執行力が現在も有することを証明するために必要なのです。
債務名義等の送達
債務名義の送達が要求される理由は、債務者に防御の機会を与えるためです。
債務者も執行手続きに関与させることで強制執行の適法性を担保しているのです。
しかし、強制執行の必要性が生じたときには、既に行方不明となるケースが多いため、送達は原則として執行証書を作成と同時にしておくべきです。