悪質商法に騙された、訪問販売で思わぬ高額の契約をさせられた。こうした対応にはプロの知恵を活用しましょう。

業務提供誘引販売契約

業務提供誘引販売取引とは  

業務提供誘引販売取引とは、「仕事を提供しますよ、だからこれを買ってください。」とか「モニター料を払います。」等と言って勧誘する、いわゆる内職商法・モニター商法のことです。

特商法51条1項は、業務提供誘引販売業とその取引を定義づけており、これを分析すれば次の3要素からなります。

  • 物品(商品)の販売(あっせんを含む)又は有償で行う役務の提供(あっせんを含む)を営む業務に従事する者が
  • 取引の相手方に対して業務提供利益を得られるとして勧誘し
  • その相手方に特定負担を伴うことを承知させて行う場合の商品の販売・役務の提供による取引を言います。

<問題点>  

内職商法、モニター商法は、高額の商品を買わされたが、約束の

  • 内職を紹介してくれない
  • 毎月のモニター料を払って貰えない

といったトラブルが多く、結局、消費者が契約時に支払った多額の物品購入代金、登録料、講座料などの支払だけが残るという被害が急増したのです。


被害の特質と救済  

この種の被害は、業者の悪質・巧妙な手法によるものか、消費者の努力不足によるものか解明が困難なため、特商法は平成13年の改正で、内職・モニター商法を「業務提供誘引販売」に含める規定を設け、同時に

  • 業者からの加入行為に対する規制(52条)
  • 広告規制(53条・54条)
  • 契約書面等の交付義務(55条)
  • クーリング・オフの適用要件(58条)
  • クレジット利用の場合の抗弁接続規定(割賦販売法)

等を設けて被害の救済措置を講じたのです。


特商法51条1項(条文)  

,海両亙造咾紡66条第1項及び第67条第1項において「業務提供誘引販売業」とは、物品の販売(そのあっせんを含む。)又は有償で行う役務の提供(そのあっせんを含む。)の事業であって、その販売の目的物たる物品(以下この章において「商品」という。)又はその提供される役務を利用する業務(その商品の販売若しくはそのあっせん又はその役務の提供若しくはそのあっせんを行う者が自ら提供を行い、又はあっせんを行うものに限る。)に従事することにより得られる利益(以下この章において「業務提供利益」という。)を収受し得ることをもつて相手方を誘引し、その者と特定負担(その商品の購入若しくはその役務の対価の支払又は取引料の提供をいう。以下この章において同じ。)を伴うその商品の販売若しくはそのあっせん又はその役務の提供若しくはそのあっせんに係る取引(その取引条件の変更を含む。以下「業務提供誘引販売取引」という。)をするものをいう。

業務提供誘引販売業の主体  

基本的には有償の役務提供あっせん業者です。
単に、商品販売や役務提供のみ行う者は主体になりえません。

取引客体  

取引の客体は、商品であり役務です。
指定商品制度をとってないので、訪問販売のような制限を受けません。
取引対象に制限が無いことに特色があります。

取引内容(取引行為)の概要  

  • 業務提供誘引販売業の取引内容の要素は、誘引行為です。
  • 誘引行為は、「業務提供利益」を得ることができることを勧誘文句として用いることが必要です。
  • 「業務提供利益」とは、業務提供誘引販売業者が、販売の目的となる商品や提供される役務を利用することにより得られる利益です。

例えば、アルバイトの求人広告に応募した者に対し
 「この仕事をするには、この商品を購入しなければならない。」
等と言って商品を販売し、その際にモニター料の支払を勧誘文句に用いるなどです。

(注意)
単に「この講座を受講(役務の提供)すれば資格が取れて将来の就職に有利である。」とする場合は、「提供される役務を利用する業務に従事することにより得られる利益」に該当しないため、本条の適用を受けません。

次に、誘引行為の際には、特定負担を伴うことが内容になっていることが必要です。

  • 「特定負担」とは、商品の購入若しくは役務の対価の支払、又は取引料の提供を言います。(例):材料費・研究費・加盟金など(特商法 第51条1項)
  • 「取引料」とは、取引料、登録料、保証金その他いかなる名義であるかを問わず、取引をするに際し、又は取引条件を変更するに際し提供される金品です。
    (特商法 第51条2項)

取引の相手  

基本的に「無店舗の個人」であることが条件となります。
というのも、禁止行為(52条)、書面交付義務(55条)、クーリング・オフ(58条)においてその相手方が
 「事業所等によならいで業務を行う個人である場合に限る」
とされているからです。


適用対象となる具体例  

契約の際に、「この業務提供利益が得られますよ」と言った勧誘行為が必要になります。
そして典型的な参考例は、以下のようなものがあります。

◇内職商法の勧誘行為

  • パソコン・ソフト購入者には、それを使った在宅でできる内職を斡旋します。
  • ゴルフボールを製造のための原材料を購入してください。販売先を紹介します。
  • 顧客名簿と封筒を購入してください。宛名書きをするだけ売上に応じて収入が得られま
    す。

◇モニター商法の勧誘行為

  • モニター会員になり、商品を購入した後は感想を述べるだけで副収入になります。

◇資格商法

  • 講座に入って資格を取得して下さい。その資格を活かした仕事をあっせんします。


行為規制  

特商法では、業務提供誘引販売業者への行為規制として

  • 不当勧誘の禁止行為(52条)
  • 広告規制(53条・54条・54条の2)
  • 書面交付義務面からの規制(55条)、指示対象行為面からの規制(56条)

等を設けています。
この規制に違反した者は行政処分や処罰の対象となります。


禁止行為  

不当行為の禁止  

業務提供誘引販売業者が業務提供誘引販売取引について契約の勧誘、または解除を妨げるために行う、以下の内容についての事実不告知・不実告知を禁止しています。
※ただし、原則として無店舗・個人との契約に限ります。(特商法52条1項)

商品の種類・性能・品質、権利もしくはサービスの種類・内容
特定負担に関する事項
クーリング・オフと契約の解除に関する事項
業務提供利益に関する事項
業務提供誘引販売取引の相手方の判断に影響を及ぼす重要なもの

罰則:上記違反をした場合は、2年以下の懲役又は300万円以下の罰金(併科あり)

威迫・困惑行為の禁止  

契約の締結、または解除を妨げるための威迫・困惑行為を禁止しています。
(特商法52条2項)

罰則:上記違反をした場合は、2年以下の懲役又は300万円以下の罰金(併科あり)


広告規制  

表示義務  

業務提供誘引販売業者が業務提供誘引販売取引について広告(媒体・方法等は一切問わない)を行う際には、次の表示義務を付しています。(特商法53条1項)

商品又はサービスの種類53条1項1号
業務誘引販売取引に伴う特定負担に関する事項53条1項2号
一定期間内に業務を提供し、又はあっせん回数等提供条件の重要事項53条1項3号
産業省令で定める業者の氏名・名称、住所等53条1項4号

電子メール広告の規制(特商法53条2・3項)  

電子メールアドレス
相手方の請求に基づかない広告を行う場合、表題分に「未承諾広告」と表示すること
電子メール広告を拒否された場合には、その拒否した者への再送信の禁止

罰則:上記違反をした場合は、100万円以下の罰金

誇大広告等の禁止  

業務提供誘引販売業者は、業務提供誘引販売取引について広告をするときは、以下の事項について著しく事実に相違する表示をしたり、実際のものより著しく優良・有利であると人を誤認させるような表示を禁止しています。(特商法54条)

特定負担に関する事項
業務提供利益その他の業務の提供条件に関する事項
商品の種類・性能・品質・効能、役務の内容・効果、権利の内容、役務の種類・効果等
商品の原産地、製造地、製造社名
国、地方公団、著名な法人その他の団体、著名な個人の関与
契約の解除に関する事項

罰則:上記違反をした場合は、100万円以下の罰金


書面交付義務  

概要書面の交付  

業務提供誘引販売取引においても業者が特定負担を伴う契約を締結する場合には、その契約の締結をする前に概要書面を交付しなければなりません。(特商法55条1項)

契約書面の交付  

業務提供誘引販売取引において契約を締結したときは契約書面の交付を要します。(特商法55条2項)
つまり、≪概要書面→契約書面≫と、2段階のステップを踏む必要があります。

罰則:上記違反をした場合は、6ヶ月以下の懲役又は100万円以下の罰金(併科あり)


クーリング・オフ制度  

要件  

特商法58条1項のクーリング・オフの要件は次のとおりです。

  • 業務提供誘引販売業者が、消費者と契約を締結したこと。
  • その消費者は、契約の内容である業務を事業所等によらずに行う個人であること。
  • 契約書面が消費者に交付されていること。
  • 契約書面の受領日から起算して20日以内であること。
  • クーリング・オフの権利行使は書面によること。

クーリング・オフの効果  

契約解除  

クーリング・オフの権利が行使されると、消費者は無条件でその契約の拘束力から解放されます。

原状回復義務  

消費者が業者から購入した商品が手元に残っている場合は、その代金を支払う必要は無くなり、同時に、その商品を返還する義務が生じます。
既に代金を支払い済みの場合は、その返還を求めることができます。

特商法特有の効果  

  • 損害賠償・違約金の制限
    業務提供誘引販売業者は、消費者に対して、その契約解除に伴う損害賠償・違約金の支払い請求ができません。(58条1項後段)
  • 引き取り費用の業者負担
    更に、その契約による商品が既に引渡し済みの場合は、その引き取り費用も業者負担としています。(58条1項3号)
  • クーリング・オフの強行法規制
    これらに反する消費者に不利な特約は無効としています。(58条1項4号)

クーリング・オフの妨害行為  

業務提供誘引販売業者による不実告知や威迫により、いわゆるクーリング・オフの妨害があった場合は、期間が延長され20日を経過後もクーリング・オフができます。
これを解消するためには業務提供誘引販売業者は、##朱色で記載された
クーリング・オフ妨害解消のための書面
を消費者に交付して説明せねばなりません。


申込・承諾の取消し  

業務提供誘引販売業者の不実告知、事実不告知により誤認して契約の申込・承諾の意思表示をした場合は、その意思表示を取消すことができます。(特商法58条の2)
(効果)
当該契約は、当初に遡って無効となります。
両当事者は、それぞれ不当利得返還義務を負います。(民法703条)


解約による損害賠償額  

クーリング・オフ期間経過後でも、消費者(無事業者個人)は何時でも契約を解除できます。
その場合の損害賠償額は、民法の規定に優先して特商法が適用されます。

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