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事実の例文

告訴事実の例文  


名誉毀損罪  

<告訴事実>
被告訴人は広島県広島市東区戸坂新町4−4(株)ABC商事の会計を担当しているものであるが、2007年10月10日同事務所金庫から現金500万円が盗難した事件について、2008年3月3日洗面室内で同僚数名がいる前で、先の盗難事件は同会社清掃員の村上陽一(告訴人)が盗んだものであると、なんら確信がないのに公然事実を指摘して告訴人の名誉を傷つけたものである。

<適用罰条>
刑法第230条 (名誉毀損)
1.公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

2.死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ罰しない。

刑法第230条の2(公共の利害に関する場合の特例)
1.前条第1項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。

2.前項の規定の適用については、公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は、公共の利害に関する事実とみなす。

3.前条第1項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。

(注意点)

  • 公然となした状況を明らかにする。
  • 被告訴人が、確実な資料や根拠に基づき事実が真実であると誤信するような場合、または公益目的などにより事実が真実である時は、名誉毀損罪は成立しないため「なんら確信がないのに」と記載する。

<ポイント>
「公然」とは、不特定又は多数人が知りうる状態にあること。
したがって、小数人であっても不特定なら成立する。

判例は、特定の小数人に対しても事実の伝わる可能性があれば公然性を認めている。

「公然事実」とは、人の社会的評価を害するものでなければならない。


侮辱罪  

<告訴事実>
被告訴人は、2008年3月3日広島県広島市戸坂新町3−3 県立文化会館における広島県会議員選挙の立会演説会において、1000人の聴衆の面前で「村上陽一は間が抜けている、とろい、役立たずだ」などと放言し、告訴人を侮辱したものである。

<適用罰条>
第231条(侮辱)
 事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。

(注意点)

  • 侮辱罪も公然性が要件であるから、具体的に場所、相手、態様などを記載する必要がある。

<ポイント>
事実の摘示の有無に係わらない点で、名誉毀損罪と異なる。


信用毀損罪  

<告訴事実>
被告訴人は広島市東区内で印刷業を営んでいるが、告訴人村上陽一の経営する同業のABC印刷の信用を失墜させようと企て、2008年3月3日に同区戸坂本町4−4 戸坂区立集会場で開かれた商店街組合の総会の席上「ABC印刷は資金繰りに困っている、何時倒産してもおかしくない」などと嘘偽りを述べ、告訴人の信用を失墜させたものである。

<適用罰条>
刑法第233条(信用毀損及び業務妨害)

虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

(注意点)

  • 信用毀損の内容を具体的に記載する。
  • 虚位の風説流布の内容は、不特定又は多数人に伝わるものであれば良く公然性は必要ありません。
  • 本罪の成立には被告訴人が事実に反するものであることを知っている必要がある。また、その内容は被告訴人が他人から聞き知ったものでも良い。

<ポイント>
「虚偽の風説」とは、虚偽である事の認識を伴った事実と異なった噂である。
「流布」とは、不特定又は多数人に伝える行為である。
「毀損」とは、他人の信用を低下させる虞のある状態を生じさせる事で、現実に低下させる必要はない。

詐欺罪・電子計算機使用詐欺罪  

<告訴事実>
被告訴人は、告訴人村上陽一から金員を騙取しようと企て、2007年3月3日「在宅でできる仕事があります。月に数十万ぐらいになります。ついては広島県広島市幟町4−4のホテル「シルクプラザ」において説明会を行いますので是非主席してください」と前もって電話をし、同年3月13日同ホテル呼び出し、やってきた告訴人に対し「仕事は必ずあり、仕事の依頼を受けるには会員になり仕事を覚えてもらわねばならず、そのための機器を200万円で購入しなければならない」という。不況で失業し、なんとか仕事を得たいと思っていたので200万円のローンを組み機器を購入し仕事の依頼を待っていたが一向にきません。後で分かったのですが、単に機器(時価20万円程度)を購入させるためのもので、同様の被害が多数出ているそうです。

<適用罰条>
第246条(詐欺)
1.人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2.前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

第246条の2(電子計算機使用詐欺)
前条に規定するもののほか、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者は、10年以下の懲役に処する。

第248条(準詐欺)
未成年者の知慮浅薄又は人の心神耗弱に乗じて、その財物を交付させ、又は財産上不法の利益を得、若しくは他人にこれを得させた者は、10年以下の懲役に処する。

第250条(未遂罪)
この章の罪の未遂は、罰する。

(注意点)

  • 詐欺罪の成立には欺罔により、相手が錯誤に怠ることを要する。本件の場合は、被告訴人は初めから仕事を斡旋するつもりはなく、単に、機器(時価20万程度)を売りつけるためだけのもので、結果的に告訴人は錯誤しているといえる。

<ポイント>
詐欺とは、人を騙して財物を騙取する行為である。
騙取とは、騙された者の錯誤による処分により財物を騙し取る事である。


横領罪・業務上横領・遺失物横領  

<告訴事実>
被告訴人である弁護士田中一郎は、2007年1月1日告訴人である村上陽一から債務整理の依頼を受け、返済金500万円を受け保管中、被告訴人である弁護士田中一郎自らの借金の返済に当てるため、2007年1月2日、広島市内の金融業者に上記金員を渡し横領したものである。

<適用罰条>
第252条(横領)
1.自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。
2.自己の物であっても、公務所から保管を命ぜられた場合において、これを横領した者も、前項と同様とする。

第253条(業務上横領)
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。

第254条(遺失物等横領)
遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。

第255条(親族相盗の準用)

第244条の規定は、この章の罪について準用する。

(注意点)
横領罪には1.単純横領罪 2.業務上横領罪 3.遺失物横領罪がある。
1,2,3とも、告訴人の占有に属しない(被告訴人の占有に属し、告訴人の占有は侵害しない)財物を被告訴人が不法に取得する罪である点は同じだが、1と2は告訴人と被告訴人の間に委託信任関係があるが、3にはそれがない場合である。

<ポイント>
本罪の占有は、窃盗罪のように事実的支配に限らず、法的支配を含む。例えば、銀行に自分の金を預け入れた者が、預け入れた金を横領する事も可能である。
なぜなら、預け入れた金は、銀行の所有に属するが、占有は預金者にあるから。


背任罪  

<告訴事実>
被告訴人は2000年3月から2008年5月までの間、広島市中区紙屋町1−2の広島銀行紙屋町支店支店長として同支店の金融業務全般を統括する地位にあり、広島銀行のために業務を遂行する任務を有していたのであるが、2000年10月2日同支店支店長室において、株式会社広島商事代表取締役広島太郎に対して、回収の見込みがない事が明白なのに関らず、広島太郎の利益を図るために、広島銀行の支店長としての任務にそむき、広島太郎に対して、広島銀行が保有する現金1億円を広島銀行紙屋町支店名義で貸付け、よって広島銀行に1億円の財産上の損害を与えたものである。

<適用罰条>
第247条(背任)
他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

第250条(未遂罪)
この章の罪の未遂は、罰する。

(注意点)

  • 背任罪は、委託物横領罪と同様、背信行為により財産上の損害を与えるものですが、他人のために事務処理をする者が、自己又は第三者の利益を図る目的をもって、あるいは本人に財産上の損害を与える目的をもって、任務にそむく行為をし、よって財産上の損害を与える事が要件です。
  • そこで「他人のために事務処理をするもの」とは、他人との委任関係により、一定の注意を持って、その他人の事務を代わって処理する法的義務を有する者です。


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