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特定継続的役務提供契約

特定継続的役務とは  

特商法41条2項は特定継続的役務について、

国民の日常生活に係る取引において有償で継続的に提供される役務をもって誘引が行われ、その役務の性質上、目的が実現するかどうか確実でないものとして政令(特商法施行令)で定めるものをいう

とし、この条項を受けて特商法施行令12条別表第5の第1欄で、次の6業種の継続的役務を定め規制の対象としています。

  1. エステティックサロン
  2. 語学教室
  3. 家庭教師等
  4. 学習塾
  5. パソコン教室
  6. 結婚相手紹介サービス
  • エステティックサロンは、「身体の美化」の代表的な役務であり、
  • 語学教室・家庭教師等・学習塾・パソコン教室は「知識、技能の向上」の役務であり、
  • 結婚相手紹介サービスは「心身又は身上に関する目的の実現」となります。


規制理由  

この種サービスの特徴は、事業者の誇大広告や説明不足から過大な効果を期待させて誘引し、

  • 契約締結時に最初から、長期間に亘る契約をさせる
  • 一括払い(あるいはクレジットによる分割払い)である

などが挙げられます。

そして消費者が転勤や病気、或いはサービス内容の期待はずれから中途解約しようとしても、契約書面に「解除禁止」や「違約罰」の条項を設けられ解約拒否をされたり高額な違約金を請求され、あるいは倒産によりサービスが途中で受けられなくなってもクレジット会社に支払い続けなければならない等の問題が多々あることです。

そこで、このようなトラブルを防止するため、特商法で一定の規制を設けています。


特商法第41条  

1.この章において「特定継続的役務提供」とは、次に掲げるものをいう。

〔鯡劃鷆〇業者が、特定継続的役務をそれぞれの特定継続的役務ごとに政令で定める期間を超える期間にわたり提供することを約し、相手方がこれに応じて政令で定める金額を超える金銭を支払うことを約する契約(以下この章において「特定継続的役務提供契約」という。)を締結して行う特定継続的役務の提供

販売業者が、特定継続的役務の提供(前号の政令で定める期間を超える期間にわたり提供するものに限る。)を受ける権利を前号の政令で定める金額を超える金銭を受け取って販売する契約(以下この章において「特定権利販売契約」という。)を締結して行う特定継続的役務の提供を受ける権利の販売

2この章及び第六十七条第一項において「特定継続的役務」とは、国民の日常生活に係る取引において有償継続的に提供される役務であって、次の各号のいずれにも該当するものとして、政令で定めるものをいう。

〔鯡海猟鷆,鮗ける者の身体の美化又は知識若しくは技能の向上その他のその者の心身又は身上に関する目的を実現させることをもつて誘引が行われるもの

¬鯡海寮質上、前号に規定する目的が実現するかどうかが確実でないもの


政令指定役務  

特商法が規制の対象とする「特定継続的役務提供」は、以下の6業種の政令指定役務に限られます。

特定継続的役務契約とは、

  • 政令で定める提供期間(1ヶ月又は2ヶ月)を超え、
  • 政令で定める金額(5万円)を超えて

反復継続して行う役務提供と取引を意味します。

特定継続的役務
(特省令12条)
提供期間
(特省令11条1項)
契約金額
(特省令11条2項)
エステティックサロン1ヶ月を超えるもの5万円を超えるもの
語学教室2ヶ月を超えるもの同上
家庭教師同上同上
学習塾同上同上
パソコン教室同上同上
結婚紹介サービス同上同上
  • 脱法的取引を防止するため、これらの特定継続的役務提供のほか特定権利を販売する契約についても、同様の規制が及びます。
  • 契約金額の5万円は、消費者が支払う入会金、受講料、関連商品、施設利用料などの総額を意味します。
  • 特定継続的役務とは、一定期間、継続的にサービスの提供を受ける必要があるもので、理髪やパーマ、マッサージのように1度で完結してしまうものは該当しません。


関連商品  

関連商品とは、特定継続的役務の提供を受ける際に消費者が購入する必要のある商品として政令で指定された商品で、役務提供事業者又は販売業者が販売する商品をいいます。

関連商品は、政令指定6業種の役務提供に伴って消費者に購入させるケースも多く、クーリング・オフによって特定継続的役務提供契約が解約されても高額な商品が対象外となれば無意味となるため、消費者保護を徹底させるため関連商品もクーリング・オフ、中途解約権の対象とされています。

特定継続的役務と関連商品  

エステティックサロン
 イ.健康食品
 ロ.化粧品石けん(医薬品を除く)、浴用剤
 ハ.下着
 ニ.電気による刺激又は電磁波、超音波を用いて人の皮膚を清潔美化する器具装置

語学教室・家庭教師・学習塾
 イ.書籍
 ロ.カセット(ビデオ)テープ、フロッピーディスク、CDなどに情報が記録されているもの
 ハ.ファクシミリ装置、テレビ電話装置

パソコン教室
 イ.電子計算機、ワードプロセッサー、これらの部品、付属品
 ロ.書籍
 ハ.カセット(ビデオ)テープ、フロッピーディスク、CDなどに情報が記録されているもの

結婚紹介サービス
 イ.真珠、貴石、半貴石
 ロ.指輪その他の装身品

  • 赤字の商品は指定消耗品とされ、使用済みの場合にはクーリング・オフ不可。
    (但し、契約書面にその旨の記載がなければ可能です。)


書面交付義務  

特定継続的役務提供契約においては契約書面の交付を義務付けていますが、その契約を締結する前に、まず、「概要書面」の交付をしなければなりません。
つまり、≪概要書面 → 契約書面≫の2段階ステップを踏む必要があるということです。

特定継続的役務提供契約は、サービス内容が一般商品と違って画一的でなく、指導する者の技量による影響も大きく、効果の不確実性が高くトラブル要因となりやすいことから、特商法は契約締結前に概要書面で明らかにするよう義務を付したのです。
「概要書面」・「契約書面」の記載事項は次の通りです。

記載事項概要書面
(42条1項)
契約書面
(42条2項)
〇業者の氏名等特商規32条1項1号イ特商規32条2項1号
¬鯡海瞭睛特商規32条1項1号ロ特商法32条2項1号
4慙⊂ι別特商規32条1項1号ハ特商法42条2項1号
ぢ絛發粒特商規32条1項1号ニ特商法42条2項2号
セ拱Щ期等特商規32条1項1号ホ特商法42条2項3号
μ鯡海猟鷆ヾ間特商規32条1項1号ヘ特商法42条2項4号
Дーリング・オフ特商規32条1項1号ト特商法42条2項5号
中途解約権特商規32条1項1号チ特商法42条2項6号
抗弁の接続特商規32条1項1号リ特商規33条2項5号
前払い取引特商規32条1項1号ヌ特商規42条2項6号
特約 特商規32条1項1号ル特商規33条2項8号
契約担当者特商規33条2項2号
契約年月日特商規33条2項9号
関連商品の販売業者名等特商規33条2項7号


書面を交付しなかった場合の法的効果  

概要書面・契約書面の交付義務違反(不交付・虚偽記載・不備記載)に対しては、100万円以下の罰金、業務停止命令の対象となる。(特商法72条1号、47条)


行為規制  

誇大広告の禁止(43条)  

特定継続的役務の提供条件(販売条件)について広告をするときは、

  • 著しく事実に相違する表示、
  • 実際のものより著しく優良・有利であるかのような誤解を招く表示

を禁止しています。

具体的事項は、次のとおりです。

役務又は権利の内容特商規37条1項
役務の効果又は目的特商規37条2項
国、地方公団、著名な法人その他の団体、個人の関与特商規37条3項
役務の対価又は権利の販売価格特商規37条4項
役務の対価又は権利の代金の支払時期と方法特商規37条5項
役務の提供期間特商規37条6項
提供事業者等の氏名・名称、住所、TEL特商規37条7項
ぐ奮阿帽愼者が負担すべき金銭がある時は、その名目・金額特商規37条8項


困惑行為などの禁止  

勧誘が不当であった場合は、広告・宣伝が不適切であった場合と同様、消費者の意思形成を歪めるため、次の規制をしています。

これに違反した場合は、2年以下の懲役又は300万円以下の罰金(併科)が設けられています。

不実告知の禁止(44条1項)  

契約締結の勧誘に際し、または契約の解除を妨げるために、購入者の判断に影響を及ぼすことになる重要なものについての不実告知は許されません。

威迫・困惑行為の禁止(44条3項)  

契約の締結、または解除を妨げるための威迫・困惑行為の禁止
威迫とは、脅迫に至らない程度の不安を抱かせることで、例として大声をあげる、腕まくりをするなども状況によっては威迫行為にあたります。


クーリング・オフ  

クーリング・オフの要件  

役務提供業者又は販売業者が、その消費者と特定継続的役務提供契約を締結した場合である。
権利行使期間は法定記載事項を記載した契約書面を受領した日から起算して8日間です。(つまり、8日目の消印まで有効!)
クーリング・オフを行使できる業種は、指定6業種に限られます。


クーリング・オフ権利行使障害事由(48条1項)  

契約書面の不交付等  

契約書面が交付されなかったり内容不備の場合はこの期間は進行せず、クーリング・オフの権利はいつまでの行使できます。

クーリング・オフ回避行為があった場合  

消費者のクーリング・オフを妨害するため事業者が虚偽の説明をし、或いは威迫して困惑させる行為は罰則をもって禁止されており、それが原因でクーリング・オフできなかった場合は平成16年の法改正で何時でもできることにしました。

つまり、契約書面の交付又は商品の引渡しを受けた日から起算して8日を経過してもクーリング・オフができるのです。

クーリング・オフを妨害する行為があった場合は、解除妨害解消書面を受領した日から8日間となります。(48条1項括弧書)

そして事業者が「解除妨害解消書面」を交付する際は、

旨を口頭説明する告知義務を課しており、この説明が無い場合は、消費者は何時でもクーリング・オフを行使できます。


関連商品のクーリング・オフ  

特定継続的役務提供取引の契約ついてクーリング・オフが行使された場合には、政令指定関連商品に関してもクーリング・オフをすることができます。

但し、特商法48条2項但書の政令で定める関連商品に該当する場合で、使用し又はその全部若しくは一部を消費したときは、クーリング・オフの対象となりません。(契約書面にその旨の記載がある場合)

  • 例:健康食品、栄養補助剤、化粧品、石けん(医薬品を除く)、浴用剤


中途解約  

たとえクーリング・オフ権利行使期間(8日)を過ぎていても諦めることはありません。
契約締結期間中であれば、一切理由を問わずに、何時でも中途解約をできます。
ただし、無条件に解約できません。

既に提供された役務の対価は事業者が正当に受領できますが,反面、未履行部分の役務に対応する対価を役務提供事業者が既に受領している場合は、その対価相当額の金員は不当利得(民703条)となり消費者に返還する義務を負います。

損害賠償額の予定や違約金の定めがあっても拘束されず、法令で定める[一定額の金銭+法定利率による遅延損害金]を支払う必要があります。
事業者は法令で定められた金額を超える損害賠償を請求できないのです。

  • 関連商品についても同様に中途解約できます。


中途解約による損害賠償額  

中途解約の時期が、役務提供開始前で、次のように損害賠償額が異なります。

役務提供開始前(特商法施行令16条)  

特商法49条は中途解約した場合の役務提供開始前の損害賠償額について、特商法施行令16条に定める

  • 「契約の締結及び履行のために通常要する費用の額」及び
  • 法定利率の遅延損害金の額

を超えて請求できないとしており、その額は下表のとおりです。

エステティックサロン2万円
語学教室1万5000円
家庭教師派遣2万円
学習塾1万1000円
パソコン教室1万5000円
結婚相手紹介サービス3万円


役務提供開始後(特商令15条)  

特商法49条2項は、役務提供開始後の契約解除による「損害の額」を特商法施行令15条に定める金額と法定利率を超える請求を禁止しており、その額は下表のとおりです。


エステティックサロン  

  • 「2万円」又は「契約残額の10%に相当する額」のいずれか低い額
       +
  • 提供された役務の対価に相当する額


語学教室  

  • 「5万円」又は「契約残額の20%に相当する額」のいずれか低い額
       +
  • 提供された役務の対価に相当する額


家庭教師派遣  

  • 「5万円」又は「1か月分の役務の提供の対価に相当する額」のいずれか低い額
       +
  • 提供された役務の対価に相当する額


学習塾  

  • 「2万円」又は「1か月分の役務の提供の対価に相当する額」のいずれか低い額
       +
  • 提供された役務の対価に相当する額


パソコン教室  

  • 「5万円」又は「契約残額の20%に相当する額」のいずれか低い額
       +
  • 提供された役務の対価に相当する額


結婚相手紹介サービス  

  • 「2万円」又は「契約残額の20%に相当する額」のいずれか低い額
       +
  • 提供された役務の対価に相当する額


特定権利販売契約の場合  

特定権利販売契約とは、特定継続的役務の提供を受ける権利を販売する契約のことをいいます。

具体的には、エステサロン(その他、政令指定6業種にされているもの)での会員権やチケットを事業者自ら提供するのではなく、第三者が販売するようなケースです。
中途解約の損害賠償金は、次の額を超える請求はできません。

権利移転前  

「契約の締結及び履行のために通常要する費用の額」を超えない金額です。

  • 契約締結のための費用=契約書作成費・印紙代などです。
  • 履行のための費用=権利を表彰する証票、証票作成・交付のための費用などです。

権利移転後  

(a)権利が返還された場合
 当該権利の行使により通常得られる利益に相当する額
 (当該権利の販売価格に相当する額から当該権利の返還されたときにおける価格を控除した額が当該権利の行使により通常得られる権利に相当する額を超えるときは、その額)

(b)権利が返還されない場合
 当該権利の販売価格に相当する額


関連商品の場合  

特定継続的役務提供(特定権利販売)契約が中途解約された場合には、政令指定関連商品についても中途解約をすることができます。
中途解約の損害賠償金は、次の額を超える請求はできません。

商品引渡前  

 「契約の締結及び履行のために通常要する費用の額」を超えない金額です。

商品引渡後  

(a)商品が返還された場合
 当該関連商品の通常の使用料に相当する額
 (当該関連商品の販売価格に相当する額から当該関連商品の返還されたときにおける価格を控除した額が通常の使用料に相当する額を超えるときは、その額)

(b)商品が返還されない場合
 当該商品の販売価格に相当する額


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