悪質商法に騙された、訪問販売で思わぬ高額の契約をさせられた。こうした対応にはプロの知恵を活用しましょう。

連鎖販売取引

はじめに  

特商法に定める「連鎖販売取引」は、ネズミ講の変種であるマルチ商法の行為規制を強化するために作られた概念です。
マルチとは、マルチ・レベル・マーケティング・システムの略称です。

このシステムには多様な形態がありますが、その共通点は
 ,海料反イ鵬弾する人を契約上は独立した商人として扱う。
 △海料反イ硫弾者をレベル別に区分し、上級レベルほど利益を大きくする。
 2弾者の利益は、商品販売利益のほか新規加入者を増やすことでも利益が図れる。

この内、最大の特徴はで、商品販売による中間マージンより会員勧誘利益を大きくしていることです。
そのためネズミ講と同じ構造を持っています。


マルチ商法とねずみ講の違い  

「マルチ商法」は、ある加盟者が次々に他の者を組織に加盟させることにより組織が連鎖的に拡大するシステムで、鼠算式に後順位加盟者が増加する性質を有することからネズミ講とも言われていますが、「ねずみ講=マルチ商法」ではありません。

<ねずみ講>
ねずみ講は、商品販売を目的としない金品配当組織のことです。
その特徴は、後順位者の連鎖が無限に続くことを前提に金品の利殖配当を行うものです。

しかし、ピラミッド式に拡大する組織でも、最初の1人を1代目として1人が単純に1日に2人を勧誘する前提で計算すれば、28日目には1億3400万人に達し、この時点で日本の総人口を上回ります。

後順位者の無限連鎖という前提自体が成り立たず、いずれは破綻する性質のものであり、そのため「無限連鎖講の防止に関する法律」によって開催、勧誘、参加行為等が全面禁止されています。
つまり、ねずみ講は犯罪です。


両者の違い  

マルチ商法もねずみ講も、基本的には組織内でランクアップをすることにより利益が得られるピラミッド型のシステムであるという点では共通していますが、ねずみ講は金品配当のみを目的としているものであるのに対し、マルチ商法は単なる金品配当を目的とするのではなく、商品販売等の促進に特徴があります。

マルチ商法という言葉に明確な定義はありませんが、商品販売よりも、他の消費者を勧誘した方の利益が大きいため、本来の目的が薄れ、高利益を得ようと半ば強引な勧誘行為を繰返す等の問題が多く、特商法でほぼ全面禁止に近い規制がされています。

商品販売組織であると言っても、極めて商品価値のない場合は、ねずみ講の恐れがあり注意が必要です。


連鎖販売取引とは  

特商法33条1項は、「連鎖販売取引」について次のように定義しています。

この章並びに第66条第1項及び第67条第1項において「連鎖販売業」とは、物品(施設を利用し又は役務の提供を受ける権利を含む。以下同じ。)の販売(そのあっせんを含む。)又は有償で行う役務の提供(そのあっせんを含む。)の事業であって、販売の目的物たる物品(以下この章において「商品」という。)の再販売(販売の相手方が商品を買い受けて販売することをいう。以下同じ。)、受託販売(販売の委託を受けて商品を販売することをいう。以下同じ。)若しくは販売のあっせんをする者又は同種役務の提供(その役務と同一の種類の役務の提供をすることをいう。以下同じ。)若しくはその役務の提供のあっせんをする者を特定利益(その商品の再販売、受託販売若しくは販売のあっせんをする他の者又は同種役務の提供若しくはその役務の提供のあっせんをする他の者が提供する取引料その他の経済産業省令で定める要件に該当する利益の全部又は一部をいう。以下この章において同じ。)を収受し得ることをもつて誘引し、その者と特定負担(その商品の購入若しくはその役務の対価の支払又は取引料の提供をいう。以下この章において同じ。)を伴うその商品の販売若しくはそのあっせん又は同種役務の提供若しくはその役務の提供のあっせんに係る取引(その取引条件の変更を含む。以下「連鎖販売取引」という。)をするものをいう。

これを要約すれば、「連鎖販売取引」とは、物品販売(有償サービスの提供を含む)の事業であって、商品の再販売、受託販売、販売のあっせん、同種役務の提供、役務の提供のあっせんをする者に対して、特定利益が得られるといって誘引し、その者に特定負担を負わせる商取引のことです。


連鎖販売取引の類型  

全ての商行為が規制の対象となるのではなく、次の取引の類型に限られます。

再販売販売の相手方が商品を買い受けて販売すること
受託販売販売の委託を受けて商品を販売すること
受託販売のあっせん商品販売そのものをするのではなく、販売のあっせんをすること
同種役務の提供その役務と同一種類の役務を提供すること
同種役務の提供のあっせん同一種類の役務の提供のあっせんをすること


特定利益とは  

特商法にいう特定利益とは、新たにシステムに加入させることによる利益です。
従って、商品自体を売買することで得られる小売差益とは性質が異なります。

特定利益が得られるからといって勧誘する行為が条件となります。
この実質的意義は、マルチ商法の特徴とされる後続加入者の募集によって得られる利益の側面を考慮しています。

<勧誘の具体例>

  • 1人紹介するごとに、紹介手数料として金○○円があなたに支給されます!
  • あなたが勧誘して組織に加入する人の提供する取引料の○%があなたのものになります。
  • あなたが勧誘して組織に加入する人が提供を受けているサービス料の○%があなたのものになります。

経済産業省令で定める要件に該当する特定利益とは  

【特商法施行規則24条1〜3項】

1.商品(法第33条第1項 の商品をいう。第27条、第28条及び第30条を除き、以下この章において同じ。)の再販売、受託販売若しくは販売のあっせんをする他の者又は同種役務の提供若しくは役務の提供のあっせんをする他の者が提供する取引料により生ずるものであること。

2.商品の再販売、受託販売若しくは販売のあっせんをする他の者に対する商品の販売又は同種役務の提供若しくは役務の提供のあっせんをする他の者に対する役務の提供により生ずるものであること。

3.商品の再販売、受託販売若しくは販売のあっせんをする他の者が取引料の提供若しくは商品の購入を行う場合又は同種役務の提供若しくは役務の提供のあっせんをする他の者が取引料の提供若しくは役務の対価の支払を行う場合に当該他の者以外の者が提供する金品により生ずるものであること。

取引料とは、入会金、保証金、登録料、加盟料等の名目の如何は問わず、システムに参加する際、又は取引条件を変更する際に支払われる金品のことです。


特定負担  

特商法上の「特定負担」とは、「その商品の購入」若しくは「その役務の対価の支払」または「取引料の提供」を言います。

取引をする相手方に対して支払うもので、入会金、登録料、保証金、研修費用など、その名目は問いません。

この負担を伴う場合は連鎖販売取引にあたるとしています。(33条1項)

特定負担は、平成12年改正前の訪問販売法でも規定されており、その金額を2万円以上とされていましたが、脱法的な取引が横行したため、この金額は撤廃されました


行為規制  

特商法等が規定する業者に対する義務・禁止行為は、次のとおりです。

氏名等の明示義務特商法33条の2
不実の告知・事実の不告知の禁止特商法34条1項・2項
威迫・困惑行為の禁止特商法34条3項
公衆の出入りしない場所での勧誘の禁止特商法34条4項
広告の表示義務特商法35条
虚偽広告・誇大広告の禁止特商法36条
受信拒否者への再送信の禁止特商法36条の3
書面交付義務特商法37条
債務の履行拒否・不当遅延の禁止特商法38条1項1号
10断定的判断を提供した勧誘の禁止特商法38条1項2号
11迷惑を覚えさせる勧誘の禁止特商法38条1項3号
12迷惑を覚えさせる解除妨害の禁止特商規31条1項
13不実告知、事実不告知の教唆特商規31条3項
14威迫・困惑の教唆特商規31条4項
15書面交付義務違反の教唆特商規31条5項
16判断力不十分に乗じた契約の禁止特商規31条6項
17適合性の原則違反特商規31条7項
18契約書類に虚偽を記載させる行為の禁止特商規31条8項


書面交付義務  

連鎖販売取引では契約書面の交付を義務付けていますが、特定負担を伴う契約を締結する場合は、連鎖販売取引の契約締結前に、まず「概要書面」の交付をしなければなりません。
続いて「契約書面」を作成・交付するという、2段階ステップを踏みます。


概要書面の交付義務者  

交付義務を負うのは、連鎖販売取引に参加する無店舗個人と特定負担の契約を締結する者です。原則、連鎖販売業を行う者です。


交付時期・方法  

連鎖販売取引の契約」と「特定負担の契約」が一体となっている場合は、連鎖販売取引の契約前です。
契約が別になっている場合は、特定負担の契約を締結する前です。

  • 概要書面
    経済産業省令(特商法施行規則28条)に明記されています。
  • 契約書面
    連鎖販売業を行う者は、連鎖販売契約を締結した場合は、遅滞なく(3〜4日以内に)経済産業省令で定めるところにより連鎖販売契約の内容を明らかにする書面を交付しなければなりません。
    記載事項は、特商法37条2項に明記されています。

そして、契約書面の必要的記載事項が概要書面に記載されていても、これを契約書面に代えることはできません。


連鎖販売取引におけるクーリング・オフ  

連鎖販売取引では、訪問販売通信販売電話勧誘販売のように政令で指定された商品などはありません。
従って、特商法の連鎖販売取引に該当する全ての商品・権利・役務の提供が、クーリング・オフの対象となります。
ただし、クーリング・オフを行使できる者は、店舗を有さない個人に限るとされています。

クーリング・オフの期間と起算日  

クーリング・オフの権利行使期間は、法定記載事項を記載した契約書面を受領した日(商品を再販売する契約内容であった場合には、その商品の引渡しを受けた日、または契約書面を受領した日のどちらか遅いほうからカウントします)から起算して20日間と、若干長めに設定されています。

契約書面を受領していない場合や書面を受領していてもその書面の記載内容に不備があるときは、クーリング・オフの権利行使は停止し、いつでもクーリング・オフを行使できます。


クーリング・オフを妨害する行為  

統括者・勧誘者等からクーリング・オフを妨害する行為があった場合は、解除妨害解消書面を受領した日から20日間となります。(40条1項括弧書)

つまり、統括者・勧誘者又は一般連鎖販売業者の違法な妨害を受けた加入者が、誤認・困惑によりクーリング・オフしなかった場合には、当該統括者・勧誘者又は一般連鎖販売業者から契約書面の交付又は商品の引渡しを受けた日から起算して20日を経過してもクーリング・オフができるのです。

そして解除妨害解消書面を交付する際は、統括者・勧誘者又は一般連鎖販売業者に
「これから20日経過するまでは、いつでもクーリング・オフすることができます。」
旨を口頭説明する義務を課しており、この説明が無いと何時でもクーリング・オフを行使できます。


クーリング・オフの効果  

  • 連鎖販売業を行う者は、その連鎖販売契約の解除に伴う損害賠償や違約金の支払を請求できない。(40条1項)
  • その連鎖販売契約に係る商品の引渡しがなされている場合は、その引渡しに要する費用は、その連鎖販売業を行う者の負担とする。

として当事者双方に原状回復義務を課しています。

連鎖販売業者は、受け取った商品代金・役務の対価・取引料の返還義務があり、加入者は受け取った商品がある場合は、その返還義務があります。

発信主義  

契約解除の意思表示の効果発生時期は、民法の到達主義でなく発信主義を採用しています。


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